山田寛『記者がみたカンボジア現代史25年』(日中出版、1998年)

今年はカンボジアポル・ポト政権の崩壊からちょうど30年になる。そしてポル・ポト派を裁く法廷はつい先日始まったところだ。だから、彼らの行った事柄をあらためて振り返るべき節目の時期を迎えているといえるだろう。

というわけで、山田寛『記者がみたカンボジア現代史25年』(日中出版、1998年)を読んだ。

『記者がみたカンボジア現代史25年』

この本の内容はタイトルが示す通りである。著者は体験談を軸として、書きたいことを(政治的見解も含めて)書きたいように書いている。とりわけソン・サンやフン・センといった政治家の人となりが生き生きと描かれていて貴重である。

著者は後に、『ポル・ポト〈革命〉史―虐殺と破壊の四年間』(講談社選書メチエ、2004年)を著すことになる。

これは、私の知る限りではポル・ポト時代の早わかりにもっとも適した、抑制と目配りのきいた日本語文献といえる。