樋口陽一『国法学』(有斐閣、初版2004年)の前半を読んだ。
- 作者: 樋口陽一
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2007/03/22
- メディア: 単行本
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原論の名にふさわしい魅力的な本である。
ただ、やや詰めるべき点が残っている。例えば72ページのここ:
多様な諸文化に内在する「普遍的な要素」を「相互に照合しあう」「調和」へともたらす展望[…]には、どんな条件が必要だろうか。
[…]文化の多元性というとき、自然の所与としての文化と、人為の所産としての文化が、区別される必要がある。人種、民族、集団としてとらえられた言語や宗教は、自然としての文化であり、その「共同性」からいったん個人が解放されなければならない。[…]その個人が、みずからの意思で選びなおすことを通して取り結ぶ「共同性」によって形づくられる文化が、[…]擁護されるに値するのである。
・何をもって共同性からの解放とするのか?
・選び直しの内実は? みずからの意思での選び直しと、そうでない選び直しとの線引きはどのようになされる(のがよい)のか?
# このあたりについては花崎皋平氏の論文や著書の参照が求められている。読めば何かつかめるかもしれない。