小熊英二・高原基彰の対談

 『atプラス』04号に載っている小熊英二高原基彰の対談を読んだ。
 示唆に富む内容ではあるのだが、高原基彰氏の『現代日本の転機』における議論を読んでいないと何ともいえないような感もあるので、読んだ上で改めて取り上げたいと思う。
 とはいえ、現時点でどうしても気になる点があったので、とりもなおさず一点だけ挙げておきたい。
 高原基彰氏は、1970年代以降の日本で論じられた、「右バージョンの反近代主義」であれ「左バージョンの反近代主義」であれ、

”超安定社会が崩壊する可能性など全く考慮していない”
としているが、はたして本当にそうだろうか。むしろ、核や自然環境の危機であるとか、経済成長が人口的・資源的限界に突き当たるといった議論が多く、それを回避するためにどうするかが盛んに論じられたという印象も強い。(それらの総体を2010年の今日いかに位置づけるかは簡単ではないだろうけれども。)