小熊英二氏の勇気

2月27日付の『朝日新聞』を遅ればせながら読んだ。
小熊英二氏は戦後日本の歴史認識問題について「国際的な対話に向けて(加害者対被害者とか、愛国心は是か非かといったような)二元論では割り切れない現実の複雑さを直視せよ」という主張をしている。
大筋において賛成である。
細かい議論はさまざまあるわけだが。(たとえば[糸圭]秀実『1968年』(ちくま新書)が指摘するような問題。)

ともあれ、私がここで言っておきたいことは氏の勇気である。慶應大学の教員をしながら福沢諭吉を批判する(『日本という国』理論社)のは勇気が要ることだろう。創立者なのだから。見習いたいものだなあと心から思う。