英語教科書の題材[補足あり]

中学の英語の検定教科書(ニュークラウン2年)をめくっていたらカンボジアの地雷の話が出てきた。

こうした題材を扱うことは基本的には良いことである。

ただし教科書にはその歴史的背景の解説はほぼ皆無に等しい。当然といえば当然かもしれないが…。

さて、このあたりの事情を駆け足で説明してみよう。

シアヌークの王政がベトナム戦争の拡大とともにクーデターで倒され、その結果成立したロン・ノル政権下ではクメール・ルージュが地下で勢力を伸ばし、1975年、170万人の犠牲者を出すことになるポル・ポト政権が成立し、4年後、ベトナム軍の介入とともにヘン・サムリン政権が成立した。地雷は、その後に引き続いた内戦の中で使われたのである。

教育の現場で何をどこまで踏み込むかという問題は簡単ではないように思われる。とはいえ、関連書を紹介するなり調べ方を助言するなりといったことはできるだろう。簡便な文献として、例えば吉田寛ポル・ポト〈革命〉史 虐殺と破壊の四年間』(講談社選書メチエ、2004年)がある。

[補足]その後、友人から、このテーマでのコミック作品として、深谷陽『密林少年』(全二巻、集英社ヤングジャンプコミックス、2006年)を教えていただきました。厚く御礼申し上げます。