安田敏朗『金田一京助と日本語の近代』(平凡社新書)を読んだ。

これは金田一京助という強烈な個性を通して帝国的言語政策の延命を論じたものである。

本書の中で紹介されるアイヌ民族に関する文献―丸山隆司『〈アイヌ〉学の誕生』や西成彦・崎山正毅編『異郷の死』など―はたいへん参考になる。そして萱野茂の二つの文章―「悲しまれないアイヌ学者の死」と、『金田一京助先生思い出の記』への寄稿文―には考えさせられる。