芦部信喜『宗教・人権・憲法学』(有斐閣)を読んだ。

宗教・人権・憲法学

宗教・人権・憲法学

この本は氏の事実上の遺著である。
アマゾンで氏の憲法教科書(→憲法 第四版)のレビューを見ると、折衷的だの何だのといった評価もある。
しかし本書に収録された回想の中で、氏の理論形成のバックにあった判断―五十五年体制のもとで司法による違憲審査に憲法価値の実現可能性をみてとり、憲法訴訟で「勝てる」方向を目指すということ―が明確に語られており、非常に興味深いものである。