植村和秀氏による蓑田胸喜論の細部について

竹内洋佐藤卓己 編 『日本主義的教養の時代』(柏書房)を読んでいる。
日本主義的教養の時代―大学批判の古層 (パルマケイア叢書)

第一章と第二章では、戦前の特異な超国家主義者である蓑田胸喜が取り上げられている。

第二章の植村和秀論文は、言わんとすることはわかるが、説明の不足を感じざるを得ない。具体的には、

(蓑田は)「折口信夫のように突き抜けもせず、平泉澄のように安定もせず、大川周明のように積極的行動もしない」

というくだり。たとえば、少なくとも、蓑田は瀧川事件や天皇機関説事件において大いに積極的行動をしたはずである。(クーデター計画でなければ積極的行動とは言えないということなら意味は通るが、それはそれであまりの極論である。)