清水幾太郎の知恵

清水幾太郎『本はどう読むか』(講談社現代新書)を久しぶりに読んだ。
本はどう読むか (講談社現代新書)
名著である。ほとんど全ページにわたって興味深い記述がある。今回、紹介したいポイントを三点にまとめた。
1.本を血肉にする方法。

"本を読んで学んだことを" "自分の文章で表現したとき、心の底に理解が生まれる。" "自分というものの一部分になる。"
2.本は買うもの。
"書物は他人から借りてはいけない。"
"どうしても借りねばならぬ時は" "ゼロックスに取るのがよい。"
3.洋書が怖くなくなる方法。
(100〜200頁のペーパーバックを) "四冊か五冊、馬鹿になったつもりで、最後のページまで読めば、どんな人でも必ず洋書に慣れる。"
(洋書を読むときは) "絶対に途中でやめてはいけない。" "判らなくてもよいから、必ず最後の頁まで読み通すこと"。
"外国書の場合は" "「判った」と思う嬉しさで線を引いてしまう。それでよい"。
丁寧で深いアドバイス。こうした本が品切れになっているのは実に残念である。版元には増刷なり新装刊なりを強く望む。
※もう一点、どうしても紹介しておきたいところ。
社会学の研究で) "日本の社会の改良に一身を献げることが出来るなら、これこそ男子の本懐、富貴何するものぞ" と思い "自分の一生を決定した。"
"私は自分の職業を決定した。"
清水は、おそらくは経験則として、人生の問題の大部分は職業の問題だと言っている。なるほどと思う。