あの事件

阿部謹也『自分のなかに歴史をよむ』(筑摩書房)を読みなおしています。
感想を書こうと思ってアマゾンのレビューを読んでいましたら、「ヘルシー女子大生」を名乗る人との「議論」を思い出しました。
愉快ではない経験でしたが、様々な曲折を経て、私は今、彼を許しています。彼にも彼なりのやむにやまれぬ何かがあったのだろうということに思い至ったからです。
そしてあの「事件」を振り返りつつ私が今あらためて興味深く思うことは、むしろ、彼の名乗った「女子大生」なる命名の信憑性は(ジェンダー論の観点からして)何によって担保されていたのか、それが「はてなダイアリー」という電子コミュニティーにおいていかなる効果を生み出し得たのか、そしてそれは「はてなダイアリー」のコミュニケーション空間における諸言説の布置をいかにして変容せしめたのか、といった諸問題にほかなりません。