マトリックス・レボリューションズなど

■映画「マトリックス・レボリューションズ」を観る。ストーリーはともかくCGがすげえよ。
2ちゃんねるの皆さん、こういうのお好きね。
http://that.2ch.net/test/read.cgi/gline/1071192751/
吉牛ネタには思わず笑った。でもスレが進むうちにだんだん寒くなってくるね。
そもそも僕はあんまり元ネタの彼女を笑う気にはなれないんだよ。切実だと思うよ。うん。
朝日新聞大佛次郎賞受賞記念ということで小熊英二の文章が載っていた。以下に一部を引用する。
(前略)批判対象を理解せずして、その対象を越える[ママ]ことはできない。そうである以上、「戦後」への無理解に基づいた「戦後民主主義批判」「戦後平和主義批判」が、実りを得るのは難しい。
 一例を挙げれば、憲法の問題である。敗戦後の進歩派や知識人達は、憲法が占領軍によって強要されたことに、概して批判的であった。彼らが1950年代前後に憲法擁護に転じた大きな要因は、冷戦激化にともないアメリカ政府が対日政策を変更し、日本に再軍備や海外派兵を強要するようになったことへの反発だった。
 それゆえ三島由紀夫のような右派論者さえ、「『憲法改正』を推進しようとしても、却ってアメリカの思う壷」だと認めていた。そこでは、改憲論が対米追従であり、護憲論や平和主義が「民主」の表現であると同時に、「自主独立」や「愛国」の表現となっていたのである。
 しかし近年の憲法や海外派兵、そして「愛国心」をめぐる論議は、しばしばこのような理解を欠いている。なかには閉塞状況を打開すると称して、衣服の流行よろしく「憲法でも変えてみようか」といった調子の発言も散見するが、これは軽薄の謗りを免れまい。

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*そういう調子の発言の具体例きぼんぬ。

[追記]小熊の記事について、生成の無垢さんによる批判があった。すなわち、三島由紀夫猪木正道との対談で改憲を唱えているではないか、というわけだ。なるほど、これは一つの批判になっている。しかし、小熊が引用したように、三島は改憲を「アメリカの思う壷」と言っているのは確かである。三島はどういう文脈でこれを言ったのか、それは猪木正道との対談での発言とどう整合するのか(あるいはしないのか)が問われねばならない。
[dakieさんのコメントを受けてさらに追記]小熊の言わんとするところをより正確に表すとするなら、引用箇所は、たとえばこういう風になるのではないだろうか:

 一例を挙げれば、憲法の問題である。敗戦後の進歩派や知識人達は、憲法が占領軍によって強要されたことに、概して批判的であった。彼らが1950年代前後に憲法擁護に転じた大きな要因は、冷戦激化にともないアメリカ政府が対日政策を変更し、日本に再軍備や海外派兵を強要するようになったことへの反発だった。(それゆえ三島由紀夫のような右派論者さえ、「『憲法改正』を推進しようとしても、却ってアメリカの思う壷」だと認めていた。)そこでは、改憲論が対米追従であり、護憲論や平和主義が「民主」の表現であると同時に、「自主独立」や「愛国」の表現となっていたのである。