堀田善衛『インドで考えたこと』(岩波新書、1957年)

 堀田善衛『インドで考えたこと』(岩波新書、1957年)は興味深い本である。インドの風土―焼けつくような昼の暑さと震えるような夜の寒さ―が伝わってくる。

 アジア・アフリカ作家会議の一員としてインドに行った著者は、多数の人々の貧しさを見聞きした。イギリスからの独立を果たし、着々と新国家の建設を行っているはずのインドになぜそうした問題が残っているのか。この問題を考えるヒントとして、著者は2冊の本を挙げている。パーム・ダット『現代のインド』とネルー『インドの発見』である。


 本書が書かれた当時の事情を伝える文献として参考になる。