書籍

ついに発売、『増補 ともに学ぶ人間の歴史』

『増補 ともに学ぶ人間の歴史』(学び舎。発売は太郎次郎社)がついに発売になったので、書店に注文した。 これは現場の先生方がボトムアップで作った歴史教科書である。教育委員会の決定などを気にする必要のない名門私立中高一貫校などで採用されている。 …

『戦争思想2015』(河出書房新社)加藤直樹論文について

すぐれた時評集である。この中の、加藤直樹論文“「昭和十九年」を生きる”にしぼって紹介する。じっさい、これを読むだけでも元は取れるのではないだろうか? 現在は昭和十九年に酷似していると著者は言う。すなわち、あの戦争の末期だ。 GHQの占領と日米安保…

政治の分析

中北浩爾『現代日本の政党デモクラシー』(岩波新書、2012年)を読んだ。リクルート事件から野田政権の終焉までを、政党の動きと民主政のあり方を軸に分析した好著。著者にはぜひ、第二次安倍政権を検証してほしいと思う。 [補足] 著者には『自民党政治の変…

市井の立派な人

Jack Goldstone の本を読み進めた。 英語のまとめ冊子に手を入れた。 備品を注文した。 小熊英二『生きて帰ってきた男』(岩波新書、2015年)を読んだ。市井の立派な人の伝記という感じ。

たくさん書くための本

ポール.J.シルヴィア"How to Write a Lot"の訳本を読み始めた。この本の通りに書き物をすると非常にはかどる。すげー。

唐突であるが高校数学お薦め本

Ian Kershaw の本を読み進めた。 靴を磨いた。 ウェーバー「客観性」論文の読み直しに取りかかった。 ここで、高校数学についてのお薦めの本を一冊紹介したいと思います。それは、幸村百理男『「理快」する高校数学』(学生社、2001年)です。例えば正弦定理…

「客観性」論文の話など

スターバックスで考え事をした。 書店でマックス・ウェーバー『社会科学と社会政策にかかわる認識の「客観性」』(岩波文庫、1998年)を買った。市野川容孝『社会学』とあわせて読むと、いかにスリリングな記述であるかがわかる。(それまでは、正直なところ…

市野川容孝『ヒューマニティーズ社会学』(岩波書店、2012年)

市野川容孝『ヒューマニティーズ社会学』(岩波書店、2012年)を一通り読んだ。小さな大著という感じで、ページをめくるごとに目を開かされるところがある。予告されている近著『社会学入門』では、社会学に何ができるかを書くとのことで楽しみ。

中尾賢司『「ネオ漂泊民」の戦後』(花伝社)など

バーナード・クリックの本を読み進めた。 スターバックスでスマトラコーヒーを飲みながら考え事をした。 ジュンク堂で中尾賢司『「ネオ漂泊民」の戦後』(花伝社)を買う。 なかなかまっとうな社会批評の本とみた。まず何よりも著者には芸がある。これからが…

買い物など

バーナード・クリックの本を読み進めた。 ジョン・コルトレーン「至上の愛」を聴く。 スターバックスで考え事をした。 書店で小熊英二の対談集を買った。こういうタイトルでいいのか? 図書館で歴史の本や統計の本を借りた。

政治経済の教科書など

バーナード・クリックの本を読み進めた。 小熊英二『差別即平等―日本植民地統治思想へのフランス人種社会学の影響』を矢内原忠雄が出てくるあたりまでキッチリ読んだ。 ハガキを書いた。 図書館で歴史の本などを借り、書店で政治経済の教科書を二種類買った。

良いブック・リストのことなど

なんか匿名ダイアリー方面でブックリストがどうこうという話が盛り上がっているようだ。というわけで、有名な私立学校、麻布学園の発表している推薦図書リスト(2013年版)を見てみた。(PDFファイル) http://www.azabu-jh.ed.jp/syuppan/natsuyasumini…

ダイヤの原石『電波大戦』

風邪を引いて寝ていた。今年の風邪は腸に来る。ジャージャー来る。(治ってからはとてもスッキリした。) その間、本田透先生の対談集『電波大戦』(太田出版、2005年)を読んだ。 内容は、当世オタク恋愛事情という感じで、興味深い話がバンバン飛び出す。…

深いな…

星野英一『ときの流れを超えて』(有斐閣、2006年)を再読した。これは深い。 民法学の泰斗である著者が弟子二人に思い出をざっくばらんに話す形の本である。 読み返すたびに発見がある感じ。 今回、印象に残った点を二つ紹介する。1.著者が留学していたフ…

鴻上尚史『ヘルメットをかぶった君に会いたい』

鴻上尚史『ヘルメットをかぶった君に会いたい』(集英社、2006年) 劇作家・演出家である著者が30年以上前のニュース映像を観て、そこに写っていた女子活動家に会おうと駆け回る話。どこまでが事実でどこまでがフィクションかわからないのだが、そこがまた…

森毅『学校とテスト』

森毅『学校とテスト』(朝日選書、1977年)は好エッセイ集である。 ついこの間物故した著者は軽妙で洒脱なエッセイを書く数学者として知られている。その通りだが、人と社会についての深い洞察がその根底にあるからこそのものである。 なんか数学をやる気に…

より良い自己イメージを作るには

ジグ・ジグラー(著)田中孝顕(訳)『成功イメージ・プログラム』(きこ書房、2007年)は、より良い自己イメージを作るための本である。 本書の山場は第5章の、自己イメージを作る24の行動にある。それらの中には、サクセス・ストーリーを読むこと、大き…

ドイツにおけるファシズム台頭の歴史に学べ―モムゼン『ヴァイマール共和国史』

ハンス・モムゼン(著)、関口宏道(訳)『ヴァイマール共和国史―民主主義の崩壊とナチスの台頭』(水声社、2001年) 本書は、文字通り、ヴァイマール共和国―第一次大戦後からナチスに乗っ取られるまでドイツに存在した、世界で最も進んでいるとされた憲法を…

 冷戦後を考察すれば―学ぶところが多かった本

塩川伸明『冷戦終焉20年』(勁草書房、2010年)は冷戦後の世界、そして未来を考える上で学ぶところが多かった。具体的には、例えば、政治的自由を求める声が高まり体制がひっくり返った結果、経済的自由至上主義がまかり通るようになった旧ソ連とその周辺…

旧ソ連の教訓

塩川伸明『社会主義とは何だったか』( 勁草書房、1994年)は口に苦い良薬のような本である。旧ソ連は、マルクス主義に基づいた革命党によって生まれ、スターリン大粛清を含むジグザグの道を辿りつつ解体した。その蹉跌の経験を踏まえることなしにオルタナテ…

やや更新

高畠通敏『政治学への道案内』が講談社学術文庫に入りましたので、過去のエントリー id:tari-Gさんお薦め社会科学入門書リスト http://d.hatena.ne.jp/morimori_68/20090308/p1 を手直しし、更新しました。

広河隆一『福島 原発と人びと』

広河隆一『福島 原発と人びと』(岩波新書、2011年)を読んだ。 著者のフットワークはすごい。福島県内の安全基準の問題、分断される住民、避難態勢の不備、政府の(責任を回避するための)「御用学者」というべき人の見解への批判などを、取材とそのフォロ…

短編を書く清張さん

阿刀田高(編)『松本清張小説セレクション33 短編集II』(中央公論社、1995年)は、1950-1960年代の、純文学的な短編を集めたものである。 『断碑』や、芥川賞をとった『或る「小倉日記」伝』は、一つのことに打ち込む主人公のすさまじい生き方を描いたも…

元ネタが知りたいなあ

井沢元彦『逆説の日本史18 黒船来航と開国交渉の謎』(小学館、2012年)を読んだ。 まず何より、読み物として面白い。おそらく著者は意外な、興味深い参考文献を用いていると思われる。著者によれば、当時の日本は、ロシアやアメリカがいちはやく来た段階…

興味深いが微妙なところもある―竹内洋『革新幻想の戦後史』

竹内洋『革新幻想の戦後史』(中央公論新社、2011年)を読んだ。 雑誌(『諸君』。休刊後は『正論』)連載中から、私は興味深く読んでいた。断片的なエピソードを単行本にするに当たってどうまとめるのだろうという点も興味深かったのだが、そこを著者は「自…

ヒトラーをめぐる謎とその解明

Ian Kershaw(著)石田勇治(訳)『ヒトラー 権力の本質』白水社、1999年(原著1991年) ヒトラーとは何者だったのか? 彼および彼が作った体制、やらかした事柄、壊した体制などには、様々な謎めいた点がある。有名なヒトラー伝(未訳)も書いている著者イ…

文章は思いと習慣―『文章のみがき方』

辰野和男『文章のみがき方』(岩波新書、2007年)は読みやすい本である。 初めに吉本ばなな氏のエピソードが出てくる。彼女はスポーツ選手が毎日トレーニングするのと同様に毎日物を書くのだとのこと。この習慣はお父さんの吉本隆明氏譲りのものだろう。いい…

中島岳志『ヒンドゥー・ナショナリズム』

中島岳志『ヒンドゥー・ナショナリズム 印パ緊張の背景』(中公新書ラクレ、2002年)は手堅い本である。 本書はヒンドゥー・ナショナリズム団体への参与観察を行った記録である。著者は社会科学の素養をじゅうぶんに活かしており、その分析はかなり行き届い…

衝撃のインド・レポート

山際素男『不可触民 もうひとつのインド』(三一書房、1981年)は衝撃的な本である。 堀田善衛の『インドで考えたこと』(と中根千枝『文明の顔・未開の顔』)に惹かれてインドに留学した筆者は、ある衝撃的な体験をする。(その内容は読者のために敢えて伏…

堀田善衛『インドで考えたこと』(岩波新書、1957年)

堀田善衛『インドで考えたこと』(岩波新書、1957年)は興味深い本である。インドの風土―焼けつくような昼の暑さと震えるような夜の寒さ―が伝わってくる。 アジア・アフリカ作家会議の一員としてインドに行った著者は、多数の人々の貧しさを見聞きした。イギ…